箱根寄木細工・秘密箱について
寄木細工は今から約200年前、江戸時代の末期に、箱根山中の畑宿という地区の木工師・石川仁兵衛が、色の違う木を組み合わせ、美しい模様のお盆や箱を作り出したのが最初と言われています。
箱根の寄木細工は、箱根細工の代表的工芸技法として、国の伝統的工芸品としての指定を受けています。
箱根寄木細工は、木材の持つ自然の色彩を生かし、原木を細かく裁断し、それを市松文、蜀江文、紗綾文、などの幾何学模様に組み立て、さらにそれを1枚の板に仕立てた後に、カンナで薄く削り取り、その1枚1枚を箱の表面に貼り付け、指物の装飾としたものです。
その代表作品が秘密箱で、江戸時代末期から作られ始め旅行客や温泉客のお土産物として人気を集めました。
秘密箱は、江戸時代の船箪笥・車箪笥に応用されてる「からくり」の原理を小箱類に応用したのが始まりと言われています。
箱に仕組まれた仕掛けを解かないと箱が開かないようになっており、かつては金庫の役割もあったと言われています。
秘密箱は、現在では外国人観光客のお土産としてとても人気があります。
秘密箱に使われる木について
目にも鮮やかな箱根寄木細工の幾何学的な模様は、すべて天然木のそのままの色であり、一切の塗装が施されていません。
箱根寄木細工は、かつては箱根の山で採られる豊富な種類の木材を原料にして作られていました。
ところが箱根が国定公園に指定され、木材の伐採が自由にできなくなったため、今では国内各地の木材に加えて一部は外国産も使って作られています。
秘密箱に使われている主な樹種
白色…みずき・まゆみ・あおはだ・もちの木
黒色…かつら神代・くり神代・黒檀
黄色…ニガキ・くわ・ウルシ・はぜの木・しなの木
茶色…えんじゅ・さくら・けやき・かつら
青色…ほう
赤色…チャンチン・ハドゥク・レンガス(外材)
(その他天然有色材を使用)